一、
災害復旧事業に関しては、平成二十二年度に発生した災害について
は
復旧進度に基づく
年間所要額を、平成二十三年度の災害については
年間所要見込み額を計上したこと
一、
県単独の補助金や貸付金などの
政策推進費や臨時・
大型事業経費に
ついては、当初予算での計上を必要とするものについて、
年間所要額
を計上したこと
一、人件費、扶助費、
公債費等の
義務的経費については、
年間所要額を
計上したこと
などであります。
一方、現下の
経済雇用情勢にかんがみ、
緊急総合対策については、国の財源などを最大限活用し、所要の額を計上しております。
以上、申し述べました
基本方針により編成いたしました平成二十三年度当初
予算案の総額は、
歳入歳出とも、それぞれ
一 般 会 計 三千八百四十七億 千 百万円
特 別 会 計 約 千 十七億二千二百万円
となっており、
一般会計におきましては、前年度当初予算と比較しますと、一三・〇%の減となっております。
次に、
予算案の主な内容について御説明申し上げます。
まず、
緊急総合対策に係るものについて申し上げます。
中小企業に対する
金融支援につきましては、経営の合理化や
安定強化などに取り組む
中小企業者を支援するため、
県制度金融やがんばる
企業支援資金などにおいて、当面の
資金需要に対応する
新規融資枠を確保することとしました。
あわせて、
緊急対策融資の融資先への返済額の軽減及び
資金調達の円滑化を推進するための資金を創設するなど、所要の措置を講じることとしました。
雇用対策につきましては、雇用の受け皿を確保するとともに、
成長分野における新たな
雇用機会の創出や、地域のニーズに応じた
人材育成を図るため、県及び市町において、地域の実情を踏まえ
創意工夫を凝らした各種の
取り組みを実施することとしております。
また、
離職者等の就労を支援するため、雇用の受け皿として期待できる
情報技術分野や
介護分野を中心に、
職業訓練の科目、内容を拡充して実施することといたしました。
次に、
経済対策につきまして、柱立てに沿って申し上げます。
まず、「安全・安心の確保」の
取り組みについて申し上げます。
男女間のあらゆる暴力の根絶につきましては、
配偶者からの暴力の
被害者等の心身の
早期回復を図るため、
県立男女共同参画センターにおける
女性総合相談体制の拡充や
早期支援の
仕組みづくりに取り組むこととしました。
地域で安心して子育てができる
環境整備につきましては、子供の
保育環境の充実を図るため、保育所の新設及び
老朽化施設の改築を促進することとしました。
児童虐待の
防止対策につきましては、
児童相談所や市町における児童の
安全確認のための
体制強化や、職員の
専門性向上、県民への広報・啓発の充実など、対策の強化を図ることといたしました。
医療提供体制の充実につきましては、病院と薬局との
連携体制を構築するため、
西部保健医療圏において整備中の伊万里・
有田地区統合病院(仮称)の機能に対応した、地域の拠点となる高
機能薬局の整備に対し助成することといたしました。
不
登校対策につきましては、
高等学校における不登校や休学中の生徒の
学校復帰や
社会的自立を促すため、民間非
営利団体など
相談機関と連携した
支援体制の構築に取り組むこととしました。
犯罪被害者支援の充実につきましては、
地域社会から
被害者も
加害者も出さない、安全で安心な
まちづくりを実現するため、
出前講座などによる県民の
理解促進や、サポーターの養成に取り組むこととしました。
次に、「産業の高度化・活性化」の
取り組みについて申し上げます。
中小企業の新製品・新
技術開発に対する支援につきましては、県、大学、
商工団体等の
産学官連携により開設する「
機能性食品」の
研究開発拠点において、
県内中小企業との
調整機能を高めるため、専任のコーディネーターを配置することといたしました。
林業の振興につきましては、間伐等の
森林整備の加速化と、
間伐材等の
森林資源を活用した林業・
木材産業の再生を図るため、条件が不利な森林の間伐や作業路の開設、地域材を活用した
木造施設整備などに対して助成することとしました。
次に、「
地域経済基盤の強化」の
取り組みについて申し上げます。
県民協働の推進につきましては、「新しい公共」を担う
市民社会組織(CSO)の
活動基盤を強化するため、
資金調達や
人材育成、市町との
協働事業の実施などについて支援することとしました。
次に、当初
予算案のうち
緊急総合対策以外の主な内容について、「
総合計画二〇〇七」に掲げる六つの柱に従って申し上げます。
まず、『健康で暮らしやすい佐賀県』について申し上げます。
県有施設のアスベスト対策につきましては、一昨年に実施した建築士による目視調査の結果を受けて、昨年九月から十一月にかけて実施した含有調査に基づき、含有が確認されたすべての施設について除去工事を行うこととしました。
医療提供体制の充実につきましては、地方独立行政法人佐賀県立病院好生館が行う県立病院移転改築事業について、地方独立行政法人法等の定めるところにより、引き続き一定の負担を行うことといたしました。
治安の確保につきましては、現場警察力の充実を図るため、鳥栖警察署平田警察官駐在所を移転改築することといたしました。
次に、『地球環境時代のトップランナー佐賀県』について申し上げます。
低炭素社会の推進につきましては、一般住宅における太陽光発電設備の設置に対し、市場価格の状況を踏まえた形で補助を行うことにより、家庭部門における二酸化炭素排出量削減を促進することとしました。
新エネルギーに対する
理解促進につきましては、核燃料サイクル交付金を活用して、玄海町が行う次世代エネルギーパークの整備及び唐津市が行う水産業の活性化を支援する事業に対して助成を行うこととしました。
有明海の再生につきましては、今後実施される
開門調査が、諫早湾干拓事業の影響を検証するために有効なものとなるよう、国の
開門調査計画などに対する意見を述べていくため、佐賀大学と共同して科学的な検討に取り組むこととしました。
次に、『学びきらめく佐賀県』について申し上げます。
確かな学力を育む教育の推進につきましては、引き続き、少人数による授業やチームティーチングなど、児童生徒一人一人を大切にしたきめ細かな指導に取り組んでまいります。
特別支援教育の推進につきましては、障害のある児童生徒が、より身近な地域で教育を受けることができるよう、中原養護学校及び伊万里養護学校において、障害種別の段階的な拡大を進めてまいりましたが、本年四月からは、県内すべての障害保健福祉圏域において、知的障害及び肢体不自由の児童生徒に対応できる体制が整うこととなりました。
文化の振興につきましては、本年が佐賀城築城から四百年という節目の年に当たることを機に、佐賀市が行う、佐賀城天守閣の発掘調査に対し、必要な支援を行うことといたしました。
博物館施設における企画展につきましては、名護屋城博物館において「海に生きる-近世唐津の海人たち-」を開催することとしております。
スポーツの振興につきましては、本年八月の秋季大会を初め、本県で開催される国民体育大会第三十一回九州ブロック大会が円滑に実施されるよう、必要な支援を行うこととしております。
また、平成二十五年に佐賀、福岡、長崎、大分の北部九州ブロック四県を会場として開催予定の「全国
高等学校総合体育大会」に向けて、必要な準備を進めることとあわせて、中学生や高校生の競技力向上を図るため、引き続き、指導者のレベルアップや、中学生と高校生の一貫した指導体制の構築などに取り組んでまいります。
次に、『活力あふれる佐賀県』について申し上げます。
新エネルギー関連産業の振興につきましては、次世代の自動車として大きな期待が寄せられている燃料電池自動車について、鳥栖市に設置される水素ステーションや、県に導入した燃料電池自動車を活用して、福岡県とも連携しながら、広域走行等の社会実証を実施していくこととしました。
基礎科学の
理解促進並びに国際リニアコライダー計画の推進につきましては、世界の素粒子物理学研究の頂点となる国際リニアコライダー(直線衝突型高エネルギー粒子加速器)の脊振地域への立地に資するため、地質調査を実施するとともに、国際研究都市構想の策定や、最先端の基礎科学に触れる機会の提供等に取り組むこととしました。
福岡都市圏への
情報発信につきましては、三月に開業する新博多駅ビルを訪れる方々に「佐賀」を知っていただき、「佐賀」に来ていただくために、広告媒体によるPRや博多阪急などでのイベントを実施することといたしました。
競争力のある売れる農産物の生産振興につきましては、園芸農業の持続的な発展を図るため、環境保全型園芸農業及び省資源型園芸農業の
取り組み拡大や、新たに園芸農業に取り組む生産者の育成や経営規模の拡大に必要な機械施設の整備などに対し、引き続き助成するとともに、脱石油、省石油や猛暑に対応できる園芸ハウスの整備に対する支援を強化することとしました。
畜産業の振興につきましては、「佐賀牛」のブランド力を一層強化するため、肥育素牛の生産拡大に必要な繁殖雌牛の導入や施設、機械等の整備に対して助成することとしました。
水産業の振興につきましては、漁業経営の安定を図るため、玄海地区においては、水産加工処理施設や製氷施設の整備に対して、また、有明海地区においては、ノリの種となる糸状体の生産施設の整備に対して、助成することといたしました。
元気な農業経営者の育成につきましては、消費者ニーズに即した農産物の生産やみずから販路開拓ができるような高い経営能力を持った人材を育成するため、農業大学校に農産加工の実習施設を整備することといたしました。
最後に、『未来ひろがる佐賀県』について申し上げます。
森林の保全につきましては、水源の涵養や地球温暖化の防止など森林の持つさまざまな公益的機能を十分に発揮させるため、引き続き佐賀県森林環境税を財源として荒廃森林の再生を推進するとともに、新たに、間伐により得られる二酸化炭素の吸収量を企業等に販売する制度を活用することにより、
森林整備の促進を図ることとしました。
幹線道路網の整備につきましては、県内の主要都市を結び、北部九州の広域的な幹線道路網を形成する西九州自動車道、佐賀唐津道路、有明海沿岸道路、国道四百九十八号の整備を引き続き推進し、西九州自動車道の唐津インターから北波多インター間におきましては、平成二十三年度内の供用開始を予定しております。
港湾の整備につきましては、伊万里港において、二隻同時接岸や大型船寄港を可能とする七ツ島地区コンテナターミナルの整備を進めるとともに、唐津港においては、物流機能強化や大型旅客船の接岸、さらには震災時の緊急物資輸送にも対応する東港地区耐震強化岸壁の整備を、国と連携して進めてまいります。
以上、平成二十三年度当初
予算案の主な内容について御説明申し上げましたが、これに対する
一般会計の歳入財源としましては、
県 税 六百九十五億七千三百万円
地方消費税清算金 百五十六億 七百万円
地 方 交 付 税 約 千二百九十三億四千 万円
国 庫 支 出 金 約 四百四十一億 千七百万円
繰 入 金 約 百九十二億五千二百万円
諸 収 入 約 三百 十九億五千二百万円
県 債 五百 四億六千 百万円
そ の 他 約 二百四十四億 九百万円
計 三千八百四十七億 千 百万円
となっております。
このうち、県税につきましては、最近における経済の動向、過去の実績等を総合的に勘案するとともに、平成二十三年度地方税制改正案に係る増減収額を考慮して計上しております。
地方交付税につきましては、
地方財政計画等をもとに、現段階で見込み得る額を基礎において、
所要額を計上するとともに、県債につきましても、国の地方債計画等をもとに、今回計上する事業費の財源として
所要額を計上しております。
次に、企業会計として運営しております工業用水道につきましては、収益的支出約四億四千二百万円、資本的支出約一億四千九百万円となっております。
次に、予算外議案としましては、条例案として「佐賀県職員定数条例の一部を改正する条例(案)」など十一件、条例外議案として「国営土地改良事業に対する市の負担について」など五件、合わせて十六件となっております。
これらの議案につきましては、それぞれ提案理由を記載しておりますので、説明を省略させていただきます。
以上、今回提案いたしました議案について御説明申し上げましたが、よろしく御審議いただきますようお願い申し上げます。
顧みますと、平成十九年四月、佐賀県が置かれている人口減少や格差の拡大といった社会構造や環境変化にも対応した「くらしの豊かさを実感できる佐賀県」を実現したいという強い思いをもって、新しい四年間の任期に臨みました。
それから今日まで、議員の皆様、県民の皆様の御支援、御協力によりまして、この重い務めを果たしてまいることができました。心からお礼を申し上げます。
この間、十年後の佐賀県のあるべき姿に到達するために四年間に実施しておくべき政策を盛り込んだ「
総合計画二〇〇七」を策定し、その後、金融
経済危機という不測の事態への対応を迫られましたが、緊急プログラムに沿って必要な財源を確保しながら、政策の着実な推進に努めた結果、一定の成果を挙げることができたものと考えております。
中でも、有明海の再生については、県民を挙げての
取り組みが実り、十年来の懸案であった
開門調査の実現に向けて、大きな一歩を踏み出すことができました。
また、「二〇〇七青春・佐賀総体」の成功や、県立佐賀北
高等学校の全国
高等学校野球選手権大会優勝など、県民に大きな感動と希望を与えてくれた出来事もありました。
このほか、
・
九州新幹線鹿児島ルートの開業と
西九州ルートの着工
・ 早稲田佐賀中学校・
高等学校の開校
・ 佐賀県のがん対策のシンボルとなる「
九州国際重粒子線がん治療セ
ンター」の開設に向けた
取り組みや、「新県立病院」の建設に向けた取
り組み
・ 平成二十二年産米が、県産米として初めて「食味ランキング」で最
高評価の「特A」に認定された「さがびより」の生産と販売
・ 食育やユニバーサルデザインの
取り組みを広げていくこと
・ 我が国で初めてとなる「国連公共サービス賞」の受賞につながった県
民協働の
取り組み
など、県政の各分野の政策について、県民の皆様に支えられて着実に進めることができたものと考えております。
一方で、財政状況の厳しさや、経済・雇用情勢の悪化などから、県民の皆様が、十分に「くらしの豊かさを実感できる」という段階には、まだ至っていないものと認識しております。
今日、経済のみならず、物流や情報通信技術の進展などを背景に、あらゆる分野で「グローバル化の時代」を迎えており、また、化石燃料に依存しない社会の実現に向けた「エネルギー変革」が急速に進んでおります。
このような世界的な情勢変化とともに、本格的な人口減少社会や地方分権社会の到来など、時代の転換期を迎える中、佐賀県の「仕様」そのものを新しいものに変えていく意識をもって、県政の各分野の課題に取り組んでいくことにより、佐賀県という地域を、二十一世紀にふさわしい、際立つ地域としていきたいと考えております。
今回の
定例県議会は、議員の皆様方におかれましても、また、私にとりましても、任期最後の
県議会となりますが、ここに、県政の各般にわたり賜りました皆様方の御理解、御支援に対しまして、心からお礼を申し上げます。
ありがとうございました。